鬼上司は秘密の恋人!?
 

祐一のためにも、ステートメントのためにも、長尾さんとの約束のことは、決して知られてはいけないんだ。

そうは分かっていても、なにも言えずに出ていくことは、今まであんなによくしてくれた石月さんを裏切るようで苦しかった。


石月さんはあの広い家で、ひとりきりでいるんだろうか。
そう思うと、息が止まるほど切なかった。


仕事帰りに本屋さんでステートメントの最新号を見つけて手に取る。

表四と呼ばれる裏表紙に、大きく載った二日酔いの薬の広告。
それを見てから目次に目を通す。連載も突然休止したり差し替えになった様子はなくてほっとする。

お世話になった野辺編集長や優しい徳永さんや、ステートメントの編集部のみんなに、ちゃんと挨拶もできないまま辞めてしまって申し訳ないけど、私があの家を出ていったのは無駄じゃないんだと自分に言い聞かせる。

そして雑誌を持ってレジに向かった。


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