鬼上司は秘密の恋人!?
「もし差し替えになるとしたら、代わりに何入れる?」
「企業トップのインタビューシリーズで、次号分がもう初稿のゲラが出来て、先方の確認もらってます。長期で海外に行く予定があるそうなので、そこだけ早めに進めてました」
「じゃあそっちに連絡して、掲載号が早まることに了承もらえればいけるな」
石月さんは編集者が持ってきたゲラを受取り、目を通しながら頷く。
「印刷所の方は日付けが変わるまで待ってくれるそうです。その代わり、しばらく今までみたいな無茶な印刷スケジュールは通せませんよ」
受話器を置いた徳永さんが、冗談めかした口調でそう言う。
そして、その場にいた全員の視線が編集長に集まった。
編集長はぐるりとその場にいるひとりひとりの顔を見回し、そしてにっこりと笑う。
「うちの編集部のモットーは、自分たちが発信する情報に誇りと自信を持つこと、です。今回も読者に恥じない雑誌を作りましょう」
その言葉に、編集部の全員がわっと湧いた。
ものすごい勢いで空気が動き出すのを感じた。