暴走族に恋をする。



「なーに話してんの。」


「あ、快斗と暁斗。もう走り終わったの?」


「そ。つっかれたー。
桜子ちゃん充電させてー!」


「イヤ。こんなところでくっつかないで。」


しかも授業中だし。
なに考えてんの?この人は……


「はは、快斗フラれてんじゃん。
桜子は快斗には一段と冷めてるのねー。」


「ま、デレデレな時もあるけどな!」


「変なこと言わないで。
しかも近い。」


「彼氏なんだからいいじゃん!」


「ここは学校です。」


……あ、暁斗くん
莉奈と話してる。

…ほんと、常に笑ってるね。莉奈と話してるときは。


さっき、私と授業中に話してたときはそうでもなかったのに。


「桜子ちゃーん。なんで暁斗ばっか見てんだよー。」


「え?
あー、なんでもないよ。」


「……さっきの選択授業の時、なに話してたの?暁斗と。」


「なんでもないよ。」


「昼休み、廊下に出たときは?」


「なんでもないって。」


「……俺には言えねーのかよ。」


あー、なんかちょい不機嫌。

……いや、完全に不機嫌。


「別にやましいことなんかないよ?
それでも全部快斗に教えなきゃいけないの?」


「全部報告しろなんていってないじゃん。
聞いたことくらいは教えてくれたっていいんじゃん。」


「でも、暁斗くんとの会話だから、暁斗くんの許可なく話すことはできない。」


「あ、そ。」


あーあ、不機嫌。完全に。
でも、暁斗くんの恋愛話を安易に口外するわけにはいかないから。


< 186 / 344 >

この作品をシェア

pagetop