暴走族に恋をする。



「ちょ、また転ぶよ。」


「大丈夫だよ、桜子ちゃんがいるから。」


……嬉しいけどさ、それも。
でもどうなのよ、それ……

少しは自分の足を大事にしなよ…


「あと少し~。」


私の家も通過し、桜が咲き誇る公園も通りすぎ、私たちは歩いて15分、快斗の家へと到着した。


「あ、さくらただいま。」


快斗の家の門には、さくらがお出迎えをしていた。


「桜子ちゃん、こっちこっち!」


「もう、なんなの。」


さくらが飛び降りてきて快斗の足元をうろうろしながら、私たちは快斗の家の庭を突き進んでいった。


「見て!あれ!」


「え?」


……えっ…あれ……


「……快斗、の?」


「そうだよ!念願の!やっとだよ!」


そこには黒光りする、大きなバイクが一台。


「バイクの免許って、横になってるバイクを一人で起き上がらせられない人には取らせてもらえないんだ。

だけど俺、それにもクリアして、やっと免許とれたんだよ!
だから親父から合格祝いでね。」


「……そっか。」


よかった、よかったね。
快斗がずっと欲しがってたものだもんね…


「で、今からドライブいかない!?」


「行かない。バイク嫌い。」


「えぇ!まだだめなの!?」


「一人で乗ってきなよ。さくらとまってる。」


「……じゃあいい。
桜子ちゃんいなきゃ意味ないし~。

さくら、おいで。」


それでも、やっぱり暴走族のみたいなバイクだけど、嫌な気分にはならない。
これをみても、もう嫌な気分にはならない。

私はそこまで成長したんだよ。


だからきっと、私がこのバイクに乗れるようになるのも、そう遠くはないはず。


「桜子ちゃーん!中はいろ!」


「うん!」




暴走族に恋をする。 E N D


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