ドーヴァー学パロ集 そのいち
夕立とソーダ

教室の窓から斜めに差し込む、オレンジ色の夕焼け。
人気もまばらになった校舎で、俺は最後の作業を終えて帰路に着こうとしていた。
だがしかし。
「……げ」
ああ、現実のなんたる非情な事か。
俺_アーサー・カークランドが家に帰ろうといくぶん校舎外へ歩を進めたその時、スコールのような夕立が降ってきたのだ。
慌てた俺は近くの屋根に逃げ込んだ。
「…ったく、ついてねぇなぁっ……」
びしょ濡れになった制服が体にまとわりついて、気持ち悪い。
帰ったら速攻で風呂に入らなければ、と思った時、ふと隣に誰かがいたのに気が付いた。
「あ~あ、夕立かぁ…しばらく雨宿りかな」
と、残念そうに呟いた髭面の男_フランシス・ボヌフォワもどうやらこちらに気が付いたようで、ふわりと微笑み、話し掛けてくる。
「お前も、雨に降られちゃったの?すっげーびしょびしょ…」
「お前だって、殆ど濡れてるじゃねえか」
そう、元々が無駄に端整な顔立ちと柔らかなハニーブロンド、それに少し肉付きはいいがまあ均整の取れた体に滴る、水滴。
「っ……」
無意識にごくり、と喉が鳴る。
水も滴るいい男とはこういうものをいうのだろうか。
濡れてまとわりつく衣服と髪が、余計に目の前の男のセクシャルな魅力を暴力的に感じさせていて、俺は目が離せなくなっていた。
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