TUG of WAR ~恋のつな引き~
おまけに私なんかよくいじられるから、
あんなに真剣に返事くれたのは珍しい。



「でも、優佳が今までと変わらず接するって決めたならそれでいいと思うよ。
……瀬名先生だってそうするだろうし。」

「そうだね。」



……と、舞には見栄を張ったはいいが、実は今まで通りに接する自信はない。

先生に自分の気持ちが知られているのが、こんなにも恥ずかしいことだと思わなかった。



「ほら、もうすぐチャイム鳴るから席つけー。」



いつの間に瀬名先生が教室に来ていたらしく、
声を上げるとほぼ同時にチャイムが鳴った。

学級委員の挨拶で起立礼をし、席に着く。



「遅くなったけど、今から冬休みの課題返していくから。
青木ー、前まで取りに来て。」



嘘だ。


こんな日に限って1人ずつ返却だなんて……。

出席番号が近くなってくるにつれて、
汗が止まらなくなる。



「新沼ー。」



先生はいつもの調子で私の名前を呼ぶ。

前に出るけれど、先生の顔は恥ずかしくて見れない。
< 136 / 368 >

この作品をシェア

pagetop