TUG of WAR ~恋のつな引き~
しばらく沈黙が流れた。

でも切れる音は聞こえないので、
画面は通話中だ。

沈黙の時間と比例して私の後悔の念は増していく。


まさか……終わらないよね?


そういう風に思うなら俺たち向いてないよなって言われないよね?



『優佳。』



先生に初めて下の名前で呼ばれる。



『俺もさ、正直分からないんだよな。
何が一番最善なのか。どこまでがセーフなのか。』



ほんの少しの間を置いて、先生が話を続ける。



『お前が日直した日に一緒に車で帰っただろ。あの日優佳を見送った後に考えてたんだ。この行動が正しかったのかどうか。
それを考えた時、自信を持って大丈夫だとは思えなかった。それなら最初から何も行動を起こさなければいいと思って、あの日以来何もなかったように接した。
……その気持ちをもっと前に伝えれば良かったな。本当にごめん。』



先生の言葉を聞いているうちに訳も分からず涙が出てきた。
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