TUG of WAR ~恋のつな引き~
……こんなのずるい。


別れようと言ったのは向こうなのに。

ただの教師と生徒に戻ろうって決めたのに。

教室の中にも関わらず、涙が出そうになる。


先週は何とか乗り切れたけれど、いざ先生を見ると心が引き裂かれそうになる。



「石井君、2限の先生に保健室いるって言ってくれるかな。」

「え、大丈夫?体調悪いの?」

「うん。」



ダメだ。
現実が怖い。

私は保健室に入った。

サボるだなんて初めてだ。



「どうしたの、新沼さん。」



水野先生は私の顔を見るなり目を大きくさせる。

保健室に着く頃には既に涙が頬を伝っていた。



「休ませて……ください。」

「うん。ベッド使っていいよ。……何か話したくなったらいつでも聞くからね。」



ありがとうございます、と一言言ってベッドに倒れ込む。

水野先生の優しさとベッドの柔らかさで、少し気分が落ち着く。
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