TUG of WAR ~恋のつな引き~
「ありました。」

「でも今その辛いこと思い出してどう思う?
その出来事すら愛しいと思うのなら、この辛い現実もいつか愛しいものになると私は信じてる。」



ということは、きっと私のこの現実も愛しいものに変わるはずだ。

……過去がそうであったように。



「ありがとうございます。水野先生のおかげで、前に進む勇気が出ました。」

「なら良かったわ。……でも失恋したてなら、うじうじしてたっていいと思うわ。
私だってこんな偉そうなこと言ってるけれど、何ヶ月も別れたことに後悔してた時もあったもん。」



水野先生はコーヒーを飲みながら苦笑する。

今はまだ無理をして前に進まなくてもいいのかな、とも感じた。


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