TUG of WAR ~恋のつな引き~
生徒と軽く話しながら、俺はちらっと優佳のクラスの教室を覗く。

優佳は三野谷と話をしていた。


……っあーダメだ。

今すぐ優佳の元へ駆けってかっ去りたい。

そして抱きしめて卒業おめでとうと言いたい。

話したいこともたくさんある。

だけど教師という立場が邪魔をする。



「おっ瀬名先生久しぶり!俺とも写真撮ってよ。」



新沼のクラスの男子数人が俺の存在に気付き、声をかける。

去年俺のクラスだった奴らだ。



「おっいいぞー。」



俺は優佳に聞こえるようにわざと大きめの声を出した。

気付いているのかどうか確認するためにちらっと見ると、優佳と目が合った。

この後優佳が近付いてくれますように。

そう願いながら男子たちと写真を撮った。



「ありがとな、先生!20歳なったら飲みに行こうぜ!」

「分かった分かった。高橋も大学でハメ外しすぎるなよ。」

「大丈夫っすよ。心配しなくて。」
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