LOVE物語3
「なぁ、少し疲れてるか?」



聴診すると、微かに聞こえる喘鳴と心音が不整に聞こえていた。



この不整脈…



心臓の移植をして、しばらくしてからの不整脈だった。



何回か、脈が飛んでいてそれが日に日に悪化しているようにも感じた。



疲労だといいんだけど。




遥香の表情や、日頃の様子を見ると疲労が蓄積されていっていることは、遥香の口から言われなくても分かる。



きっと、遥香にとって今は休憩が必要なのかもしれない。




だけど、試験が終わるまではそんなことも言えるわけがない。




「ねぇ…。」




どうしたら、遥香を楽にすることができるのか。




遥香が医者になるまで、この生活が続くのか。




遥香は本当に頑張っていることは分かる。




本気で、遥香が医者になりたいっていう気持ちがあることも分かる。




だけど…。




医者になるのを止めるべきか…。




しかし、俺にそんな権利があるわけがない。




それに、ここで止めてしまったら、今までの遥香の苦労が水の泡になってしまう。





そんなことしたら、遥香は後悔を背負っていかないといけなくなるよな。




「ねぇ、尊。


そんなに、悪い…?」




ずっと、遥香の胸に聴診器を当てていたことに気づいた。




「すまない。なぁ、遥香。」




「なに?」




「1人で抱え込むなよ。」




「うん。」




俯きながらそう答える遥香。




「ほら、顔を上げて。」



俯く遥香の顎をすくい上げ視線を合わせた。




「さっきも、言ったけど遥香のこと支えるからな。


だから、一緒に頑張ろう。」




「ありがとう。」




遥香を元気にすること



前を向けるようにサポートすること



遥香を支えていくこと



いつも俺の生活の中心には遥香がいて、遥香に支えてもらっている。



それはこれからもずっと変わらないし、この生活は手放したくない。



遥香の診察をすべて終わらせてから、遥香を抱き上げ車で一緒に家へ向かった。
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