ろ う そ く

私も落ち着いた所で、私たちはあの懐かしい武山の部屋に入った。


武山の家は誰もいない。


お母さんは仕事。

お姉ちゃんのエミちゃんは、今年から摂津で一人暮らしを始めたらしい。



「なんかさ、昔は俺ら元気やったよな。」


「うん。そうやな。
毎日追いかけ合ってたもんな。」


「あの頃に、戻りたい…。」


武山は悲しそうな目をしながら、そう呟いた。


「どうしたん?」


「何もない…。」



武山はそっと私の手を握りしめる。


どうしたん?裕史。

何があったん?

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