ろ う そ く



―ピーーーーーーー―


病室にはただ、悲しい機械音だけが、鳴り響いた。


「なんでよォー!!」

私は、声にもならないような声で、狂ったように叫んだ。


「最善の手は尽くしましたが…」


ドラマでよく聞く、医師の言葉。

最善って、何やねん!


裕史のお母さんも、お父さんも、エミちゃんも、皆泣いてる。


「美輝ちゃん、裕史を今までありがとう。」


「なんで…なんでなん?」


私はまだ現実を受け入れられへんかった。



海行くって、言ったやん…

裕史に見られると思って、新しい水着も買ったのに…

なんで先逝ってしまうんよ。


裕史…


聞いてるん?



裕史って!!!


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