SNOW
1、
「マーシャ」

長い廊下に響き渡る澄んだ少年の声。

この少年は、自分の愛猫を探していた。

窓から差し込む光に照らされて、少年の……デービッドの金髪は眩いばかりである。

「う~ん、どこに行ったんだろう?マーシャ、出てこないと夕食抜きだぞ!」

デービッドの精一杯の脅しがマーシャには理解できたのだろうか?

マーシャは廊下の突き当たりの部屋のドアから顔を出した。

ニャ~。

「あっ、マーシャ駄目だよ!その部屋はお父様の書斎なんだ。勝手に入ったら怒られちゃうよ」

マーシャを見てデービッドは慌てて注意する。

デービッドの言葉を無視して、マーシャはまた部屋の中に入って行った。

「あ~あ」

マズイと思いながら、デービッドも急いでマーシャの後を追う。

当のマーシャは本棚の上に乗っていた。

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