君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】






「伊織君」


放課後、夕日に包まれる教室の窓際の席でまどろむ少年の名前を呼ぶ。


夕焼けに染まるグラウンドからゆっくり時間をかけて、視線を滑らせる。


「なあに、森野さん」


甘くとろりとした蜂蜜みたいな声。でも、それは毒だ。


一度その声を聞いてしまえばたちまち虜になる。


伊織君に呼んでもらえると自分の名前が特別なものに思えてしまって、もっともっとと呼んでほしくなるんだ。


くせになるんだよ、伊織君知ってる?


「このあと、時間空いてるかな?」


「空いてるよ」


「……屋上、行こう」


たったこれだけの言葉で意図を汲み取ってくれて、伊織君はほろり、触れると呆気なく崩れそうな柔らかい笑みを浮かべてこう言った。


「いいよ」


『いいよ』それが伊織君の口癖だ。


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