spicy◇candy
6異世界・初世界
何だか短いようで長い1日の終わりを、俺は真紀と迎えた。駅で電車を待つ俺の隣には真紀が立っている。あの時は倉井の立っていた場所に親友が立っている。

倉井はそういえば、学校に来ていなかった。藤谷が来たことと入れ替わりに休むつもりなのか。アイツのことだから、不登校になりかねない。

夜の始まりの駅は、高校生がまばらに行き交っている。深まってきた群青色の空には、無数の星が散りばめられている。こんな星空を見て何も思わない人間などいないだろう。

空を、無気力に眺める俺の肩を、何者かに叩かれた。その相手は真横にいる真紀ではないと判断したが、それ以上考える間もなく、肩を叩いてきた1人の人間に腕を掴まれ、強引に連れていかれてしまった。

これって……明らかな誘拐。俺は目の前の出来事にただ不安感を抱いた。
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