銀木犀

教室の自分が座っていた席に座ってみる。


ここから世界を見ていた十代の僕は、何を聞き何を考えていたんだろう?


世界はもっと光に満ち溢れ、それでいてもっと親密だった?


残酷で幼稚な集団心理に振り回されてた?


納得してる?


意外と強運だったよな!


僕は僕自身の過去に問い掛ける。


もう取り戻す事の出来ない時間。


僕はそれを後悔してるのだろうか。


いや、単にノスタルジックになってるのだろうか。


色々と思いを巡らせてみる。


今日、ここに来なければ決して考える事などなかったのかもしれない。


遠くのグランドから聞こえる野球部の掛け声を聞きながら、そんな事を考えて、ぼんやりと外を見ていた。
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