恋愛指南は乙女ゲームで
episode:7-11 関係が微妙になったり海外異動が本格化したり
 その後も政子は田村の前では笑顔で接していた。
 けなげだ。

 でもいっつも一人になるとうじうじ悩んでるんだよな。
 そこがウザい。
 ていうか女ってこうなのか。

 ゲーム内ではその後お互い意識してるのか、政子の気遣いが空回りしたりで若干二人の間がぎくしゃくしたり、それによってまた政子がうじうじ悩んだりしていた。
 あの同期会の前までは、飯のおすそ分けとかもする仲になってたのになぁ。

 つか政子よ、嫌いな奴からのそんなもん、男は受け取らないもんなんだぜ。
 そこは気付けよ、大人なんだし。

 そして政子がうじうじしている間に、田村に正式に辞令が出てしまった。



「政重~。どうよ、ゲームの成果は」

「成果のほどはわからんが、順調には進んでるぜ」

「進むのは当たり前だ。何かをクリアしていくもんでもないしな」

 今野に言われ、俺は不思議に思っていたことを聞いた。

「なぁ、そういえば、これってゲームなんだよな? ゲームというからには、クリアしないと終わらんってことだろ? けどバトルも何もないぞ? 何がどうなったらクリアなんだ?」

「ほんっと、お前の普段のやってるゲームがわかる言葉だな」

 大仰に肩を竦めながら、今野はおもむろに俺のスマホを取り上げる。
 そしてイケメン(今思うと、これは田村だったようだ)アイコンをタップして乙女ゲームを起動させた。

「か~っ。お前、やっぱり全然駄目だな」

「いきなり何だ。つか、そこで何がわかるんだ」

 マイページを見ただけで叫ぶ今野を不審げに見ながら、俺もスマホを覗き込んだ。
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