恋愛指南は乙女ゲームで
 とりあえずゲームはお引越しから始まり、会社での田村との再会へと流れて行く。

 どうやら政子はなかなかなドジのようだ。
 先輩に言われた資料を取りに行って転んだり、お茶を出しに行って転んだりしている。

 だが何事にも一生懸命。
 今日は残業だったというのに、同期の恋愛相談などに付き合って、くだらない愚痴を聞かされている。

<『ほんっと、同い年って頼り甲斐がないっていうか。カレは毎日田中部長に怒られてるしさ。何か情けない。田村とは偉い違いだわ。あいつ、海外支社勤務の話も出てるらしいよ』
『そうなの? まぁ……出来る人だもんね』
『政子、フリーなんだから田村なんかどう? あいつ射止めたら将来安泰よ』
『えっ……』
 私は思わず赤くなった。あのマンションに引っ越して、何度か田村くんに会った。
 田村くんはよく外で煙草を吸っている。それで、会うことが多くなるにつれて喋るようにもなった。
 特に田村くん、猫の話になると表情が変わるんだよね。会社では見たことのない、優しい目になる。
 それを知ってから、私は……>

 ……わからん。
 喋るっつっても、どーでもいいことばっかじゃねぇか。
 田村も大した返ししねぇしよ。

 まぁ気持ちはわかるよ。
 俺も、どーでもいいこと言われたって、どーでもいいとしか言えねーし。

 ていうか女って、そんなんでも恋に落ちるのか?
 優しい目になるっつっても、それはあくまで猫に対してだ。
 対象は人ですらないんだぞ?

 いや、だからむしろいいのか?
 他の女にそんな目を見せるよりはいいってか?
 はぁ~、謎だ。

 つか乙女ゲームって、これゲームか?
 ひたすら話を読んでるだけのような気がするが。

 つくづく謎だ、女心と乙女ゲーム。
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