ガラクタ♂♀狂想曲
腫れモノ





バスルームの中、唇を重ねた私たち。
だけどそれだけにとどまらず、体を舐めまわすかのように触れ合い、そして舌が這う。

デンちゃんの猥らに動く指先で膝の力が抜けそうになった。


「気持ちいい?」

「——こんなことしてて、いいのかな」

「服着たまま、シャワーの中に飛び込んできたの誰?」


顔を覗き込みそう言ったデンちゃんは、まさぐる指を止めず。そして口付ける。角度を変え、何度も——


「——んッ、ふ」


憂いある瞳に吸い込まれそう。溺れるのはデンちゃんなどではなく、私かも。

けれど私だけでなくデンちゃんの呼吸も少し乱れ、キスの合間に短い喘ぎが続く。

指先やキスだけでなく、吐き出されるその息だけで、それが私の肌へ触れるだけで、理性というものがサラサラと消えていく感覚。

私の体が動きに応えれば、頭から雫を垂らせるデンちゃんは嬉しそうに口元をふっと緩めた。

そして今度は乱暴に口付け、貪るようなキスで口内を攻めまわる。

互いに相手の体へすがりつくように身を寄せ合っては、それとともににじり寄ってくる快感——。


「ショコちゃん」


求めあった私たち。デンちゃんが触れ、そしてゆっくりと飲み込むように私の中へ沈んでいく。

私たちは淫らに息を乱し、

脳裏を揺らすほど突き上げてくる快感に、ふたりで溺れた。

もしかすると私たちは、現実から目を逸らしたくて、ただただ快楽の海に逃げているだけなのかもしれない。

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