ガラクタ♂♀狂想曲

デンちゃんの背中を見送ったあと、誰もいなくなった部屋を見回してみる。
さっきまでデンちゃんがいたスペースに手を伸ばせば、ぽこんとへこんではいるものの、もうすっかり熱を失っていた。


「あ、煙草」


慌てて出て行ったせいか、煙草がテーブルに置き去りにされている。いつもは跡形もなく出て行くのに。なんだか珍しい。

なんとなくはあ…、と息を吐き出しテーブルへ手を伸ばした。そして残された煙草を手に取ってみる。

私もお酒を飲むときは煙草を吸うけれど、軽めのメンソールの煙草しか吸わない。デンちゃんの煙草はがっちりキツメのだし、私にはおいしいとも思えない煙草。


だけどキスするときの味は、好きだったり。
まあこれは、デンちゃんに限らずだけど。


中を覗けばあと2本しか残っていなかった。次に来るのは明日か明後日か、それとも一週間先か——。


「ううむ」


ゴミ箱に向かってシュート!今度いつ来るかもわからない人のために、ここへ置いておくのもなんだしね。

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