ガラクタ♂♀狂想曲

「まあ、だけどよかったじゃん。女の子がアシカ見たいだなんて、なかなか思いつかないと思うし」


そうだよね、普通。だってどこからアシカなわけ?


「じゃあショコちゃんなら、アシカは思いつかない?」

「あいにく私には全く。ぜーんぜん、これっぽちも」

「だけどそれが普通かも。それに瑠美はよく天然って言われてるし、俺もそう思う」


天然ね。一番嫌いな言葉だ、それ。


「きっと瑠美ちゃんは、よっぽどデンちゃんと一緒にいたいんだねえ」


皮肉を含めつつ。少し饒舌モードでそう言い、私はまたビールを飲み干した。


「いえーーっす」


するとそう言って立ち上がったホストなデンちゃん。流石なのかどうなのか、新しいビールを冷蔵庫へ取りに行った。


「ほらショコちゃん、かんぱーーい」


プシュッといい音が部屋に響く。
デンちゃんからそれを受け取った私は、冷え冷えの新しいビールに口をつけた。

だけどお腹いっぱい状態で、すぐにゲフッと空気が上がってくる。


「———アシカかあ…」


そしてそれを、天然っていう簡単な言葉で片付けちゃうのね。

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