お説教から始まる恋~キミとの距離は縦2メートル~

念願のずぼら生活、開幕!

「でーきた!」

今日はインターネットで注文したスチールラックを組み立てた。
天井まで突っ張れるタイプで、かなりの収納が期待できる。

狭い部屋だが、このラックを収納場所兼間仕切りにしようと考えて組み立てた。
理想通りの仕上がりに、胸が高鳴る。

というのも、完成度や配置もさることながら、物を出し入れしない側に目隠しも兼ねて、大判のバスタオルを吊るしたのだ。
毎日欠かさずプレイしている女性向け恋愛スマートフォンゲーム、『きらめきレストラン』のキャラクターが描かれた、未使用のバスタオル。
クレーンゲームで苦労して取ったのだが、これまでは彼氏の目が気になり使うことも飾ることもできず、大切にしまう他なかった代物。
さすがに等身大とはいかないが、目線の高さにお気に入りのキャラクターたちが並んでいる。
ニヤニヤせずにはいられない。

「せっかく独りで暮らすんだから、思い切りオタク部屋にしよう!」

そう決めて、準備は進めていた。
100均で購入したワイヤーネットを壁に取り付け、集めたアクリルキーホルダーとラバーストラップを隙間なく吊るしていく。
ぬいぐるみたちは、カーテンレールの上へ。
缶バッチはお薬カレンダーなる便利グッズに収納して壁に掛けた。
缶バッチをひとつひとつビニールの袋から出さなくてもいいし、推しキャラが変わればポケットの中身を入れ替えればいい。

いいぞいいぞ、可愛いぞぉ~、テンション上がってきた~!

好きなものに囲まれるというのは、こんなにも幸せなことなのか。
キャラクターソングのCDをかけ、歌い、時に踊りながら夢中になって設置していたら、あっという間に深夜1時を回っていた。食事もとっていない。

しかし…疲れた。
空腹もあって、動けない。動きたくない。
こうなれば食べに出るのも、口に物を入れて咀嚼することすらも面倒くさい。
今日はシャワーも浴びなくていいや、と言いたいところだが、さすがにラックの組み立てで汗をかいてベトベトする。
面倒くさいが、顔から下だけでもざっと流すか。


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