まるい顔がすき!
「実はさ、昨日、せ、瀬原くんが、そ、その...」


「句読点が多い。さっさと言うべし。」



美咲が早く言えと言わんばかりにツッコミを入れる。



「か、可愛いって....えっと、髪を結んでたところ見られちゃってて。それで、夏祭りもその時に誘わ」


「えええええええ?!?!」



美咲さん落ち着いて、待って。まだ私が話してるとちゅ


「ほあああ?!?瀬原夏輝?!え?!朝から冗談なんて、身体に悪いゾ☆」



私の話も思考も全てを遮って美咲はオーバーリアクションで驚いている。しかも、おい。冗談とはなんだ。


...でも、そりゃそうだよね、私が一番びっくりしてるよ。だってあのモテモテスーパーイケメンの瀬原くんからそんなこと言われるのって、奇跡としか言いようがない。



「でも瀬原くんって」


美咲が何か言いかけた時、



「朝からお前らうっせーんだよ」



出ましたー。林さん。林雄成さん。


林はついさっき教室に滑り込みセーフしたようで、無造作な髪をダルそうにかきあげながらこちらへ近付いてきた。


「うっせーとは何だ。犬ころ。」


美咲が盛大に林を挑発して睨む。

こ、怖い!怖すぎる!!何という目力!!!



「犬じゃねーよ。ていうか、瀬原ってあの隣のクラスの?」


「そうよ。紗綾が、瀬原くんに夏祭り誘われたって!あの瀬原くんよ?!やばくない?!」


「おい古賀、お前まさか本気にしてんの?」




ズキッ




「ほ、本気じゃないなんて分かってるし!」




ねぇ、なんでそんなこと言うの?




「じゃあ朝から騒ぐな。お前、イタズラで声かけられたことも分かんねーの?」


「ちょっと林、あんたに何が分かるって言うの」


美咲は林の上から目線にイライラしているのか、更に眼光を鋭くさせた。


「まじ現実見ろよ、ドラマじゃあるまいし。からかわれてるって、早く気づいた方がいいよ」


「分かってる。分かってるって!」


からかわれてると他人から指摘されて、恥ずかしいのか、ムカついてるのか、自分でも分からないけど、分かった振りをした。


「でも林には関係ないでしょ?迷惑かけてないし、もう突っ込んでこないで!」


私はいつも以上に林に向かって声を荒げた。


すると林は、フンっと目線を反らし自分の席へ戻っていった。


「紗綾、あんなやつのこと気にしなくていいよ。それより!昨日の話、もっと詳しく聞かせて?!」


美咲が目を輝かせながら興奮ぎみにさっきの話の続きをねだってきた。


私は林に言われた言葉が頭から離れず、美咲に話すのはやめよう...と思ったけど、


「紗綾。は・や・く☆」


...美咲にはやっぱり、話したいっ!(←単純)


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