好きが涙に変わって溢れてく。

そんな大分前の話、まだ覚えててくれたの?


そんなに根に持ってたのかな。



でもあれは、ただの照れ隠しで私が素直になれなかったから、ああやって言うしかなかった。



「……意味は、ちゃんとあったのにね」



今となっては、もう過去の話だ。



「え?」


「何でもない、よく味わって飲んでよねっ」


「はは……っ、わかってるって」



行こうとする魁に、あの事を思い出した私は呼び止めた。





「ねぇ魁。ちゃんと、仲直りした?」



今日の明菜の様子から心配だったけど、振り返った魁は手を上げて笑っている。



「おう‼だから心配すんなよっ」


「心配なんかしてませんーっ」



ははは、と笑って段々と魁の姿が見えなくなっていく。



……そっか、仲直りしたんだ。



やっぱりあの2人、何だかんだでラブラブなんだよね……



いつまで経ってもきっと、明菜が飽きない限り羨ましい関係なんだろうな。




私も早く気持ち伝えて、おさらばしたい。


だけどいつ言えばいいのか、タイミングがわからない。


明菜にも気付かれないようにしなくちゃいけないし……




「よっ」


「あ、尊琉くん」



尊琉君の気持ちにも、ちゃんと答えられるように。


こんなに優しい人を、いつまでも待たせたら悪いし……



「何してたの?」


「ううん、何も」



何となく予感がする。


私……尊琉君のこと気になってる。



だから好きになる日が来るんじゃないかって。


魁よりも、もっともっと。

< 330 / 432 >

この作品をシェア

pagetop