好きが涙に変わって溢れてく。
◆ Last Section ◆

最後の抱擁






もうすぐ冬休みに入る。


未だに写真のことでビクビクしてる日は続いてるけど、何とか無事に過ごせていた。


それはきっと、毎日傍に尊琉君がいてくれるからだって思う。






私が尊琉君と付き合ったって報告したら、みんな少し驚いてたけど祝福してくれた。


3人に伝えたのはそれだけ。

魁のことは話してない。


あれはもう、私の中で封印したことだから。





「尊琉君っ」



会える時には会って、2人で喋ったりみんなで喋ったりしている。


尊琉君と過ごす時間が前よりもっと増えて、嬉しかった。





ただ……




「魁、おはよっ」



何だかんだ言っても、魁と明菜はいつも一緒にいる。


以前と何も変わらない関係だから、よくわからないと思う時もあった。




あの告白は何だったんだろう。


まるで何事もなかったような雰囲気だから、嘘なのかと思ってしまう。



明菜と一緒にいるんだから、私よりも明菜を選んだのかな。


何だか凄く、寂しい気もした。




ダメダメ……‼

私は尊琉君って決めたんだから、そんな風に思っちゃダメだ。



それに魁が明菜とずっと付き合っててくれて逆によかったんだ。


もしこの事が明菜にバレたりでもしたら、確実に逆鱗に触れて写真をバラまかれるだけじゃ済まなかったのかもしれないし。



そうだ。感謝しなきゃ。




尊琉君と2人で一緒にいる時、たまに魁の視線を感じるけど私は見ないようにしていた。


何の意味が込められているのかはわからないけれど、見てしまえばまた自分の気持ちがわからなくなってしまいそうだから。



もう魁とは喋らない。魁を見ない。


自分でそう決めたことだから。



とにかく私には尊琉君だけ。


尊琉君がいてくれたら、それでいいんだ。

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