好きが涙に変わって溢れてく。

一週間に一度あるこの授業。


私はきっと、毎週この日が一番大嫌いになるだろう。



「頑張ってね」


「たかが二時間だけじゃんっ‼ね?」



理由を知っている3人は、私を慰めるようにそんなことを言って授業に向かっていく。


せめて誰か1人だけでも一緒だったらなぁ……。



何で音楽なんて取っちゃったんだろう。

選択科目の中で、たしか一番これがマシだと思ったんだよなぁ。



過去の自分に後悔しながらも、私は音楽室へと向かった。








「おはよ、桜綾‼」


「おはよー」



パッと可愛らしい笑顔を向ける明菜。

ほんとにこんな子が、あんな性格してるなんて見た目だけじゃあ想像つかない。



だけど私は瞳の話を聞いたから、もう騙されたりしない。


今もこれからも明菜の方が有利な立場だけど、最後まで魁のことは諦めないんだから。

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