【完】キミは夢想花*


***



季節は過ぎ去り、私達は高校を卒業し大学に入学した。

私は地元の大学。

亜子は東京の大学。



それぞれ、自分のやりたいことを見つけるため。

また、夢を叶えるためにも私達は未来を見続け歩き続けた。



そして、それから更に4年が経ち、私達は大学4年生。



4年も経てば考え方も少しは大人になった気がし、余裕を少しだが持てるようになったと思う。



この長いようであっという間の年月は、いい意味で平凡。



家族とも相変わらず仲はいいし。

高校の初期の頃に友達作りで苦労したとは思えない程、大学ではごくごく自然に友達も出来た。



強いて言うならば、亜子に彼氏ができたことが、私の中での1番大きな出来事だ。



けれど、どれもこれもあの日の思い出に比べれば平凡で、現実的。

だが、私がずっと求めていたものはこれなんだと思ったと同時に、心には穴が開いていてスースーする。



その原因は考えなくても分かる。

私の側に椿がいないこと。



昔…妖の世界に行った時、心は確かに軽くなった。

今もモヤモヤや、苦しみはなく心は軽いまま。



でも…どうしても寂しかったり、友達の幸せな話を聞くと、今彼はどうしているんだろう。元気かな。っていう思いが募る。

< 127 / 202 >

この作品をシェア

pagetop