【完】キミは夢想花*


椿の背中に私も手をまわし強く抱きしめる。



「ありがとう」



彼は私の耳元で優しく囁く。



「どういたしまして」



彼の言葉に私も囁いた。



そしてお互いに抱きしめる力を緩め離れた……



「またね」



「うん。またね」



もう二度と会えないことは分かっている。



けれど、今の私達にはこの別れの言葉がぴったりだ。



現世ではなく、来世で。

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