【完】キミは夢想花*
そして学校では校則を破ってばかりで、ろくに登校もせずサボってばかりの私は浮いていて陰口を叩かれるばかり。
先生や生徒からの評判は最悪。
今すぐに格好だけでも改めればいい話なのに、こうやってでしか反抗出来ない私は現状維持。
弱い自分を隠すのに必死で、生きるのに精一杯な私には前を向く強さや勇気なんてどこにも無かった。
***
6月下旬。
バイトが終わり、私は真っ直ぐ帰ることなく河川敷に向かった。
夜の河川敷は静かで、川の音や虫の音、色々な自然の音が聞こえる。
それを見たり聞いたりしていると、この世界に私だけな気がしてくる。
心も体も常に限界。
そんな私にはこの場所で泣くことしか出来なかった。
そんな時、
「こんばんは」
背後から突然声を掛けられた。
23時近いこの時間に、この場所に人が来るなんて予想もしていない私は変な声を上げてしまう。
「大丈夫だよ。ボク、不審者じゃないから」
月明かりに照らされて姿が見えた。
そう言った彼は深くフードを被っていた。
フードの中から見えた顔は中性的で今までに見てきた、どんな俳優さんやモデルよりも綺麗で美しい。
けれど、細身の体からはどこか彼の不安定さを感じる。
「ボク、椿」
「私は、蓮」
椿には〝儚い〟という言葉がピッタリだった。