【完】キミは夢想花*


彼の言葉に胸がきゅぅっと締め付けられ。

彼と会う時間にワクワクして。

彼に今日あった出来事を報告して。

彼と一緒に笑い合って。

彼の誕生日には、今度は私がプレゼントして。



そして、いつか...



彼にこの想いを伝えられたらなって。



そんな彼との幸せな未来を夢見ていた。



でも、それは所詮ただの夢だった。



夢ばかり見ていた日々。



こんな悪夢...夢なら覚めてほしい。

そして幸せな夢を見続けたい。



けれどそれは出来ない。

私の夢はここで終わり。



「もう......私の前に、姿を現さないで」



必死に現実を見る。

ここで、彼に抱いた気持ちも全て、切り捨てる。



私は拘束されている親子を解放し、亜子と一緒に家を出た。



もしかしたら追われて、殺されるかもしれない。

そう思ったけれど、家の外は雨は止み異常なまでに静かで、遠くから虫の音が聞こえてくるだけ。

< 89 / 202 >

この作品をシェア

pagetop