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ひとじち=真実


「ん…?」


うっすらと目を開けてみると

そこは知らない場所だった。

半身を起こして周囲を見回すが

誰もいない。


(ユイ…?)


結斗の姿も、両親の姿もなかった。

そして、記憶もない。


「オハヨウ」


声がして、振り返る。

そこにはあの男…ジンがいた。

「此処は僕が滞在しているホテルだヨ。
前に君も来た事があるダロウ?」


「どうして私をこんな場所に?」


「人質ダヨ。
君をさらえば、ユイは必ず此処に来るだロ?」


「そんな…」


「そうそう。君が眠っている間に
君の「メモリー」を見せてもらったヨ。
ユイは酷い主人ダネ。
君に一番重要な事を記憶しておかないナンテ」


「え…?」


ジンは狂ったような笑みを浮かべた。

その表情にゾッとするアリア。

逃げ出したくても

アリアはその場から一歩も動けずにいた。

「行動」の回路をいじられてしまったのだろうか…。

まったく知識のない者ほど、壊すのは簡単だ。


(ユイ…早く…来て…)


「まだ何もしないヨ。「まだ」ネ。
ユイが来るまで、君の「メモリー」にない話をしてあげようカ?
ユイがフランスに居た時の事。
聞きたいダロ?」


「……」


興味がないわけではない。

だが、「メモリー」しなかったのが

結斗の意志だと思うと

どうしても気がひけた。

沈黙を肯定と取ったのか

ジンはそっとアリアの頬を撫でて言った。


「君は本当にリアにそっくりだね…」


























「リ…ア…」





















聞きたくない名前だった。

結斗の「死んだ恋人」の名前…。






「ユイには何も聞いてないんデショ?
俺が嘘偽りなく、全部教えてあげようカ?」
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