とあるレンジャーの休日
松本診療所

15(土曜日)

 
 秋の天気は変わりやすい。
 今朝、紫乃が枕元のカーテンを開けたら昨日のどんよりした雲はどこかへ消え去り、澄んだ青空が広がっていた。

 カーテンを引く音と光で目を覚ました歩は、一瞬ここがどこだか分からず混乱した様子を見せる。
 だが、ベッドの上にいる紫乃の顔を見て、すぐ笑顔に変わった。

「おはよう、紫乃」

「おはよ。ほら、今日いい天気だよ。これなら走りに行けるね」

 歩は布団の上で大きく伸びをしながら、頷く。

「また運動公園まで行って来ようかな」

 それを聞き、紫乃は忘れないうちにと思い、先に約束を取り付けることにした。

「土曜日は診療が午前中で終わりだから、午後空いてるんだ。良かったらまた一緒に出かけない?」

「ほんと? 行くっ!」

 彼は嬉しそうに答えると、まるで子どものように軽々と飛び上がった。



< 158 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop