とあるレンジャーの休日
初めてのデート

20

 
 紫乃は、父と祖父の昼食の支度を終え、ソワソワしながら待っていた歩と一緒に外へ出た。

 デートという名目だが、どこへ行ったらいいか分からない。
 結局いつものように、買い物も兼ねて隣町にあるショッピングモールへ向かった。

 まずバスに乗り、最寄りから電車で一駅移動する。
 特に何をするわけでもないのに、家を出てから、歩は終始嬉しそうだった。

 モールのある駅を出て、遊歩道を並んで歩く。
 幸いなことに、昨日からいい天気が続き、爽やかな青空が広がっている。
 空気の乾燥は秋の訪れを感じさせ、あんなに暑かった日差しは、すっかり和らいでいた。

「夕方、おばあちゃんの病院に寄っていきたいんだけど。歩はどうする?」

「一緒に行く!」

 昨日の今日であり、紫乃は中野のおばあちゃんの容態が、ずっと気になっていた。
 今日を逃すと、しばらくお見舞いに行く時間が作れない。
 清二郎の不調もあり、平日の診療時間は益々増えていくだろう。

 紫乃がまた暗い顔をしたのを見て、歩は言った。

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