とあるレンジャーの休日
別々の夜

23

 
 久しぶりにホットプレートを出し、普段は外へ飲みに出る吾郎も一緒になって、夕飯のジンギスカンを囲む。

 吾郎に酒を勧められ、歩は顔を引きつらせながら必死で断っていた。

「お前、俺の酒が飲めねぇってのか」

「すんません! たとえ幕僚長(ばくりょうちょう)の勧めであっても飲めません!」

 歩の言葉に、さすがの吾郎も怯む。

「む、ん……そうか。そんなにダメなのか」

「速攻でぶっ倒れるか、吐きます」

「やめてー」

 脇から、紫乃が顔をしかめて叫ぶ。

「これからお肉食べるのに吐くとか。父さんもさっさと諦めて、一人で飲んで!」

 精密検査前の清二郎はもちろん禁酒だ。
 目星を付けていた晩酌相手が下戸だと知り、吾郎は明らかにガッカリしていた。

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