とあるレンジャーの休日

 外はあいにくの曇り空。
 そろそろ冬を迎えるこの時期に、日の光が足りないと、さすがに外へ出ても肌寒く感じる。

 今日も紫乃は一日中仕事で、自分はトレーニング以外にやらなければならないことはなかった。

 例の答えは出ないままだ。
 でも、そろそろ本気で戻ることを考えないとまずい。

(眠れさえすれば、戻っても当面は支障ないんだよな)

 有事でなければ、部隊にいてもやることは変わらない。
 訓練と勉強と自己管理。
 以前と違うのは、紫乃のことが気になるのと、頭で色々考えだすと眠れなくなることだけだ。

(それが問題なんだけどさ)

 紫乃が傍にいれば眠れる。
 嘘みたいに効くのが不思議で仕方ない。

 ――いっそのこと、一緒に連れて帰ってしまおうか。

 そう考えて、歩はすぐに無理だなと思い直した。

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