とあるレンジャーの休日

「お邪魔します」

 歩は、こちらに背中を向け、かかとを踏みながらスニーカーを脱いだ。
 でも、わざわざしゃがんで揃えることはしない。
 それを見た紫乃は、ランドセルをしょって走って帰り、靴を乱雑に脱ぎ捨てて走り回る、子ども時代の歩を想像した。

 クスクス笑っていると、また歩が怪訝な顔をする。

「何?」

「なんでもない」

――なんだか、楽しい。

 紫乃は、いきなり押し付けられた同居人である歩を、自分が大した違和感もなく受け入れていることに気付き、それを不思議だと思った。




 居間に荷物を置かせ、紫乃はとりあえず夜の診療に備えて早めに夕飯の支度を始める。
 午前中は祖父と二人で診療所に出て、午後は祖父のみ。
 夕方から夜にかけては、紫乃が一人で診療するのがいつものパターンだ。

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