ヘタレな貴方と強がりな私


持っていても仕方がない
リビングの棚へ閉まった


もう恋はしないと決めた
でも、好きになってしまった

ただ…それ以上のことは望まない
それ以上にはならない

でも、現実はうまくいかない




「あら?あなた…確か奏くんの」



奏くん、という言葉に振り返ると
そこには、あのサエさんがいた
私を見て、私に近づいてきた



「奏くんは一緒じゃないの?」


電車から出た人の流れに紛れ
ホームから出た時だった
笑顔で近づいてくる彼女に
私の心は騒ついた



「…一緒、ではありません」


それだけ言って歩き出したが
なぜか彼女は私の隣を歩き始めた

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