ヘタレな貴方と強がりな私
休日の終わり


姉が家を出てから三年
姉はどうすることもできず
何のあてもなく、ただ生きるために働く毎日
そんな毎日に手を差し伸べてくれたのが裕介くんだった


仕事の合間をぬって
この三年間、姉を探してくれていたという
裕介くんは姉のことが大好きだった
姉がいなくなって
“魔が差してしまった”と言葉に出すと
姉は裕介くんの頬をちねっている


裕介くんの計らいで
姉はこの家に戻れたわけだ
結婚式はせず、籍だけ入れて
あと二ヶ月後には新しい命が誕生するという


うまく納まってくれたのなら、それでいい



それより、と姉の目線は小鳥遊くんと奈津へ向けられた
すっかり忘れていた
奈津は長旅の疲れと大人の会話に飽きてしまい
小鳥遊くんに抱きしめられ眠っていた

< 341 / 397 >

この作品をシェア

pagetop