ネガイボシ
大声でそう言うと、雅樹は一気に走りだした。

いきなり走りだした雅樹に引っ張られるように、私の体もバランスを崩しながら進む。


不安定な視線を合わせると、そこには頂上が見えた。


「やっと着いた……」


肩を上下に動かしながら、雅樹が言った。


白い息はふわりと漂い、消える。

あまり暖かくないからか、視界も大半が白で埋められていた。


「千夏、墓石を早く見つけないと」

「そうだね!
たぶん、簡単に目につく所にはないと思うの。すごく小さいのか、埋まってるのかはわからないけど……。
前に来た時に、そういうものを見つけた人は誰もいなかったから」

「そっか……。じゃあ、一緒に端から探していこう」

「うん」


力強くうなずくと、雅樹に引かれるように私も移動した。



草を書き分けて探す雅樹の隣で、私は懸命に目を凝らす。


頂上自体は、そんなに広いスペースじゃない。

それでも、2人で探すにはやっぱり広い。


見落としがないかしっかりと辺りを見回しながら、私たちはゆっくりと足を進めた。

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