君が涙を忘れる日まで。
「香乃は私の大切な幼馴染なんだ。だから、香乃を泣かせたりしたら許さないから」

「うん、分ってる」

修司なら大丈夫だって、知ってるから。

かっこよくて優しくて真面目で、何事にも一生懸命な修司なら、きっと香乃を幸せにできる。


「あっ、そうだ。これ」

「なに?」

修司は持って来た紙袋を私に渡した。

中に入っていたのは、私の大好きなケーキ屋のシュークリーム。


「お見舞いなにがいいか聞いたら、香乃が教えてくれて」

「ありがとう、早速後で頂くよ。ねぇ修司、ひとつ聞きたいんだけどさ」

「なに?」


「香乃のどんなところが好きになったの?」


ついこの前までは聞きたくないと思っていたけれど、今は聞きたいと思う。修司の気持を。


「んと……優しさかな。あぁ、勿論奈々だって優しいけど、そういう意味じゃなくて」

「そういうのいいから、早く続けて」

笑ってる私の横で、修司は言葉を続けた。


「いつも明るくて、一生懸命だし。香乃と話してるとさ、あいつ奈々の話しばっかりするんだ」

「私の?」

「そう。子供の頃の話とか、中学の時に虐められていたのを奈々が助けてくれたとか、ほんと、奈々の話しばっかりだった」


私はギュッと布団を握り、泣きそうになる気持ちをなんとか落ち着かせた。


「香乃は、奈々のことが大好きなんだな……って。そんな風に友達のことを大切に思える香乃が、いつの間にか気になってたんだ」


修司の言葉を通じて、香乃からラブレターを受け取ったような気持になった。


私も……香乃が大好きだよ。

修司のことも、まだ全てを忘れるには時間がかかるけど、でもきっと……乗り越えられるから。







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