危険地帯
幼い私の願いは、とても純粋なものだった。
『独りは嫌だ。ずっとそばにいてくれる存在が欲しい』
たった、それだけでよかった。
誰でもいい。
離れていかずに、そばにいてくれたら、それでいい。
その願いで生まれたのは――アイツ。
「覚悟しろよ」
龍司という人の荒々しい声で、我に返った。
黒龍同士の闘いが幕を開け、龍司という人は先頭を切って前へ飛び出す。
紫色の髪が、月の光に照らされていた。
人数の差で、三人にとって圧倒的に不利な闘い。
私は博さんの言葉を胸に、三人の闘いを目を背けずに見ていた。
喧嘩はやっぱり嫌いだけど。
三人のことを、ちゃんと見ないといけない気がする。