危険地帯
……私も、黒龍の喧嘩は見境がないと思うんですけど。
今そんなことを言ったらどうなるかわからないから言わないけど。
「どうせ“皆を守ってる俺ってかっこいい”って自惚れてるだけだろ?」
「は?」
深月の言葉に、蜜という人が目をキッと鋭くさせる。
お互いに理解しようともしない。
ただ衝突し合ってるだけ。
このままじゃ、この言い争いは終わらない。
「不良になった時点でお前らは終わってんだよ」
「そうそう~!」
「俺達みたいに自由に生きた方が断然楽しいのに、面倒くさい方を選ぶなんてアホだな」
真っ黒に染まりきった深月の心が、叫んでいるようだ。
“白”になんて戻っても意味がない、思うがままに生きた方がずっと楽だ、と誰も立ち入りできない心の中で塞ぎ込んでいるような、そんな感じがした。