強気な彼女は逃走中
なんて思ってたけど。

『とりあえず。夜都、ごめんなさいは?』

「?」

不思議そうに私を見るなー!

そもそもの発端は何だったか思い出せー!

『わからないの?』

米神ピキピキひきつってますけど、冷静に冷静によ、アリア!

自分に言い聞かせながら、少し違うセリフをはいてみる。

『浮気してごめんなさいは?』

「はっ?してねぇよ!」

すかさず怒気を強めて返ってくるけれど。

『でも、謝るべきところはあるわよね?それがわかんなきゃ最終的な和解じゃないからね!私も元カレと連絡とろうかなぁ。』

「ダメに決まってんだろ!」

両腕を掴まれた上に、顔の近さは十センチもない。

「あーもうわかったよっ!元カノだとわかった上で指輪作らせようとして悪かったよ。でもな、向こうから付き合ってたって言われるまで、顔見てもわかんなかったし、はっきり言って今でもよくわかんねぇよ!彼女として認識して、顔と名前が一致してんのはお前だけだから。」

最低なんだけど、責められない。

そんな私も最低かもだけど、ちょっぴり嬉しかったのは否定できない。

「これからは何回振りほどいても腕に巻き付かれて、途中から面倒になっても放置なんてしない。腕を組むのも、手を繋ぐのもアリアだけだ。」

真面目にきちんと約束してくれる夜都に、なんだか照れくさくなって。

『私は夜都だけじゃないけどね。』
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