強気な彼女は逃走中
『女の人とジュエリーショップに腕を組んで入っていったわよね?理由を聞いてもいい?』

ソファーの横に立ったまま、ばか丁寧に聞く。

夜都はというと。

チッと舌打ちして、私を睨む。

いやいや、睨みたいのは私ですけど?!って怒鳴りたいのを必死で我慢。


夜都はものすっごく言いたくないって顔して、私を見てる。

そんなの無視して、私は答えを待つ。

「あれは店のデザイナーだ。店に行く途中、たまたま会って腕は勝手に組まれただけで、何もない。」

『ふぅん、ただの店のデザイナーと腕組むの?元カノ?』

一瞬言葉につまる素振りを見せたあと。

「…ああ。大学のとき少しだけだ。」

やっぱり!

何か可笑しいとおもったのよ。

落ち着いて話を続けたくて、私はコーヒーを二人分入れて隣りにやっと座った。

『そう。彼女がいるとわかってて、あのお店に行ったの?』

「偶然だ。前に行ったときわかったんだ。」

『初めてじゃないのね。』

すかさずそう聞くと、怪訝な顔してこっちを見てる。

「何が言いたい?」

『もういいわ。何もわからなくても、たとえすべてごまかしでも。』

すくっと立ち上がると、私は自分のマグカップを流しに乱暴に置いた。





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