夢の終わりで、君に会いたい。
「鳴海」


お姉ちゃんの声だった。


「うん」


「大丈夫?」


「え、何が?」


私の短い返事にお姉ちゃんは、

「なんだか少しぼんやりしていたし、あんまりご飯も食べなかったから。具合、悪いの?」

と。

そして、沈黙。

ドア越しにお姉ちゃんの気配がまだある。


「そんなことないよ。テストの点が最悪だったから。それに、明日の朝も食べたかったからセーブしたの」


「そっか」


おだやかなその声が、ドアをすり抜けてすとんと胸に落ちる。

なんでもお見通しのお姉ちゃん。

昔から少しの変化でも気づいてくれたから。

だからこそ、心配させたくない。


「ぜんぜん元気だから」


明るい声で言うと、

「そう、よかった。おやすみなさい」

と、声が聞こえた。


「おやすみ」


足音が遠ざかるのを聞きながら、ラベンダーの香りが部屋を満たしてゆくのを感じた。
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