忘れたはずの恋
「では、失礼します」

一礼をして走って行く藤野君。
その後ろ姿が細くて…羨ましい。
…いやいや、綺麗だった。

あんな綺麗な男子は見た事がない。

ん?

ナニコレ。

胸がソワソワする。

久々にカッコいい子を見て、どうもドキドキしたみたい。

…たまにはこういうときめきも良いわね。

うん、こういうのは気楽で良いわ。

集配の田中さんがウキウキしながら私に藤野君の話をしてくれた気持ちがよくわかる。

あの時の田中さんの興奮を思い出して少し笑ってしまった。

さっきまで息が詰まりそうな空間にいたけれど、少し胸が軽くなった。



うん、私は私なのよ。

恋愛や結婚に囚われる事なく、楽しく生きていけたら良いのよ!



…とはいえ。

あの約束、どうしよう。

本当にバイクなんて興味ないし、困ったなあ。

適当に用事が出来た、とか言って断ろうかな。

うん、そうしよう!
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