柊くんは私のことが好きらしい
Ⅴ・


追いかけると決めたはいいけど、人生そう易々とうまく運べたら誰も苦労しないし悩まないって話ですよ。


「メグゥーーーーッ!」


スコーンと頭に特大ハートがぶつかったような気がして、ふらりと前線から離脱する。


「ん。ひまりん戻ってきた~」

「なんで戻ってくんの。逃げんな。戦え」

「いや無理……」


マイマイと咲の元へ引き返したところで、背後からはまた黄色い歓声が上がる。その近くで応援をするみっちゃんの隣で頑張ってみたけど、慣れないことはすべきじゃないと悟った。


「大体にして立ち位置が悪すぎる。なんでメグの応援してんのに対戦チームの外野側に立ってたわけ? しかもただ突っ立てるだけだし。何やってんのってか何がしたかったの? 場所取りで負けてんだからモジモジしないで腹から声出せやっ、腹!」

「咲ちゃんそのへんでやめてあげて」

マイマイ天使……!


やんわりと制された咲はそれ以上詰ってくることはなく、「甘やかしすぎ」と耳の痛い言葉で締めた。


ちらりと逃げ出した場所を窺えば、柊くん有するキラキラチーム(勝手に命名)が眩しいほどの笑顔で試合を楽しんでいる。


その傍には横居さん率いる親衛隊の皆さま方が、アイドルのコンサートかってくらい声援を送ってらっしゃる。
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