シンデレラに憧れて

そんな内容を弘樹に言うたびに
彼は胸を抑えて苦しそうな顔をする。

「本当に心臓に悪い」って言って心配しているみたい。

彼のマンションでグツグツとふたり鍋。

「今度は私が講師になるんだよ」
得意顔で言うと
弘樹は「へぇ」って目を丸くする。

「中西さんから頼まれたの。女子限定でコスメの話。崩れないリキッドファンデーションの使い方とか、秋の新色の傾向とアイカラーの正しいつけ方と、ベースの大切さとか……」

「うん。美佳ちゃんにピッタリ」

話を途中で止められて
ちょっとプーッと頬をふくらませたら

「どんな顔でも美佳ちゃんは可愛いなぁ」

ニコニコ笑顔で弘樹は言い
私が大好きな白菜を器に入れる。

ズルいヤツ。

「人なんて来ないって思ってたら、すごい募集が集まって2回に分けてやる事になっちゃった」

「えーっ凄いね」

「うん」

このバカな私がまさか人の前に立って、話をするとは思わなかった。

人生って不思議。

今までお互いを目の仇にして
仲良くなるなんて思いもしなかった、賢そうな人達と仲良くなって
自分で知らない世界も知るようになった。

全ては
弘樹が背中を押してくれたお勉強会に参加したおかげ。

一歩踏み出すって
勇気が必要だけど

世界が広がる。



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