キミの笑顔が見たいだけ。


ーーザーッ


次第に激しく降り注ぐ雨によって、制服が重くなっていく。


足元が濡れて指先が冷たい。


「こん中入って雨宿りすんぞ」


「う、うん……!」


公園の遊具の土管の中に2人で慌てて滑り込んだ。


「大丈夫か?」


「うん、なんとか。靴下までビチョビチョになっちゃったけど」


「俺もめっちゃ冷たい。つーか、菜都って絶対雨女だろ」


濡れた髪を掻き上げながら、矢沢君がこっちを見た。


ーードキン


その仕草がすごく大人っぽくて、顔が熱くなっていく。


やだ、あたし……こんな時に。


「あ、雨女じゃないよ……!矢沢君が雨男なんじゃん」


「はぁ?ありえねーし。俺は晴れ男だ」


「あ、あたしだって晴れ女だよ……!多分」


考えないように見ないように、必死に矢沢君から目をそらす。


狭い土管の中に降りしきる雨の音がうるさいほど響いて、熱を冷まそうとしてくれているよう。


「ぷっ、多分ってなんだよ」


「だ、だって……あんまり、自信がないから」


そういえば、行事の時に晴れたことってほとんどないかもしれない。


やっぱり、あたしが雨女……?


「髪濡れてんだろ。しっかり拭かねーと風邪引くぞ」


「わ」


頭にフワッとした何かが乗せられて、そのままガシガシされた。


強引だけど、優しいその手付き。


矢沢君にされるがまま身を委ねた。


「タオルなんてよく持ってたね」


「突然の雨に備えて、あの日から持ち歩くようにしてるんだ」


あの日って、2人で一緒に雨宿りをしたあの日……?


「折り畳み傘じゃなくて、タオルなんだ?」


普通、持ち歩くなら傘だよね?


「傘は持ち歩かねー」


「え?なんで?」


「傘があったら、こんな風に2人で雨宿り出来なくなんだろ?」


耳元で囁く甘い声。


やめてよ、そんなの反則だ。


「菜都が一緒なら、雨も悪くないって思える」


反則……だ。


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